木 久 楽 長い年月、風雪に耐えた大木の一枚板や無垢板を使ったダイニングテ-ブル 座卓、テレビボードや手作りオーダーメイド家具を製作している広島のきくらです。創業64年、3代にわたって家具作りに携わってきました。心を奪われる木との出合いがありますように・・・
広島のオーダーメイド家具
よくあるご質問
(メンテナンス方法など)
 

木久楽のこだわり

木久楽ではテ-ブルなどを製作する際、その木の持つ美しさを最大限に引き出すため、ペ-パ-仕上げの前に手がんなをかけます。かんなをかけるということは、お刺身を作るときに良く研いだ包丁で切ると味が見違えるのと似ています。

入念に手と目で確かめながらかんなをかけていくと、本当に惚れ惚れするような美しい木目が浮き出てきます。そんな時、「木は美しい!」とつくづく思います。

長年風雨にさらされ、厳しい環境の下で育った木の中には、節や割れや中には腐れなど、人間でいうと、しわやしみ、くすみがありますが、そこに、その木の歴史を感じ、いとおしいと思っていただけるとありがたいです。合板にはないそのような欠点こそ無垢の魅力かもしれません。節や割れを丁寧にそくいで埋めたり、ちぎりを入れたりしてお化粧をしてあげるのも楽しみの一つです。

木久楽では基本的に木組みの伝統工法を用いるようにしています。それが頑丈に組み立てる最も合理的な方法だからです。しかし、技術の進歩は目覚しく、伝統工法に勝るとも劣らない道具や材料もでてきますので、それらをうまく組み合わせて仕事をしたいと思っています。

木久楽が製作するのは、家財道具であって、工芸品ではありませんので、価格的にもよりお求め安くするために何ができるか、日々試行錯誤の連続です。


工場内のようす
倉庫には、乾燥のため一枚板が桟積みされ、出番を待っています。 電気鉋で荒材の表と裏を削り、水平を出します。 昔、中学校の校舎だったので天井が高い工場の中は、使い勝手の良いように機械を配置しています。

このページでは、それぞれの作業工程を説明します。

「八角形の小物入れを作ります」

 底板、側板それぞれのパーツに鉋をかけます。側板は、先端になるほど薄くなるようにテーパーをつけています。  ボンドを薄くつけて、手早く接着します。  しっかりと固定するように麻ひもでぐるぐる巻いてゴムで留めます。

レッグジョイント加工 「板の接ぎ合わせ」

キハダの2枚接ぎの天板を作ります。

以前はやといざね(溝をついて、薄板をはさんで接着)やほんざね(凹凸で接着)という方法で接ぎ合わせをしていましたが、ビスケットジョイントという電動工具が出現し、板の接ぎ合わせが、画期的に容易になりました。
接着面の鉋削り 接着面を完全に平らにすると、両端の接ぎが切れやすくなるので、コピー用紙一枚程度をかんなで削ります。これは経験と勘が頼りです。
接着面にビスケットを入れる 接着面に、接着剤をむらにならないように伸ばします。そしてビスケットというさねの代わりになるものを入れます。

ビスケットの間隔は、20cm~25cmが妥当のようです。
2液性の接着剤 接着剤です。水性ボンドでは水分を吸収して、接着力が弱くなり、接ぎがきれてしまう心配があるので、2液性の接着剤を使っています。
2枚の板をはたがねで締めます はたがねという工具で固定しますが、あまりむやみに締めすぎると板が反ってしまいます。はたがねを木表側、木裏側と交互にして締め加減も慎重にようすを見ながら締めていきます。

接着の部分に接着剤がはみだしますが、すぐに水ぶきしてしまうと板の道管に染み込んでしまうので、乾いてから、のみやかんなで削ります。

  「脚の接合にレッグジョイント金物を使用」
レッグジョイント用の治具 クリの一枚板の天板に脚を接合するための金具「レッグジョイント」の穴を開けます。
NCルーターで作ったレッグジョイント用の治具です。
レッグジョイント用の治具 始めに中央の深い穴を掘るため、ドーナツ状のものをはめこんでおきます。
ハンディールーターの刃の調整 そして別の治具で穴の深さにハンディールーターの刃の長さを合わせます
ハンディールーターで穴を開けます ハンディールーターで治具に沿って穴を開けていきます。
穴が開きました 穴が開きました。鉋屑を掃除機で吸い取ります。
浅い方の穴も 続いてドーナツ状のものをはずして浅い方の穴を開けます。
深いほうと同じようにルーターの刃を穴の深さに合わせ、治具に沿って穴を開けました。
レッグジョイントの金具をはめました 治具をはずし、レッグジョイントの金具をはめこんだところです。
レッグジョイントの脚の金具です 脚の方にはこんなレッグジョイントの金具がはめこんであります。
レッグジョイントで接合しました 両方を接続するとこうなります。

「鉋の刃口の口埋めについて」
鉋の刃口の口埋めについては色々なやりかたがあるようですが・・・
木久楽では、木片返しにすきま分の薄板を作り、それを瞬間接着剤でつけて、直しています。
ご覧のとおり、時間もかからず、簡単にできます。でも、これが正しいかどうかはわかりませんので、他に良い方法があったら教えてください。

「木工旋盤」
テーブルの脚にするタモの角材を木工旋盤で丸くしていきます。
ある程度、丸くなったら、治具を使います。

治具で高さを調節して、かんなで削っていきます。

(これは、インターネットで色々見ていて、なるほどなあと思って、参考にし、試してみたのでした。)
このやり方だとけっこう早く簡単にきれいに出来上がります。

ベンチの脚の丸ホゾのシーズニング

ベンチの脚の丸ホゾを組み立てる前に予め乾燥させています。木材は加工すると、乾燥してやせますので、このような工程が必要になります。

シーズニングとは - 木材は季節によって伸縮を繰り返すので、製材した後、数年、あるいは数十年野積み乾燥させ、四季の気候に慣らすこと。または、加工する前に人工的に含水率を調節することをいいます。

背付き肘掛けベンチができるまで

ナラの背付きベンチの骨格の部材です。
パーツごとにホゾ加工し、鉋をかけるものはかけ、磨いたところです。
そのパーツにそれぞれオイルで塗装し、乾燥を待って組み立てました。
残すは座面と背板の加工ですが、接ぎ合わせは既に終わっていますので手鉋をかけ、磨いてオイル塗装をすれば出来上がりです。といってもこれが神経を使う結構時間のかかる作業です。
3枚接ぎのベンチの座面の座彫りです。座彫りというのは、すわった時におしりが心地良いようにカーブをつけることです。
まず、電気かんなで荒彫りします。
トリーマーの定盤に任意のアール(今回は3500R)を作った木の板を両面テープで貼り付けてその定規から最初は1.5mmくらい出して削っていきます。抵抗が大きいので危ないためしっかりと持って行います。その後、トリーマーの刃の出を0.5mmくらいずつ少なくしていって何回か繰り返していくとかなり滑らかなアールになります。任意のアールは定規の木端面に鉛筆でRを書いて横削りで線まで削りサンダーで形を整えています。
その後反り台かんな、四方反り台かんなを使ってきれいに仕上げていきます。面倒な作業のようですが、この方法が一番効率が良いと思います。
ちなみにこれは工房「花みずき」のホームページを参考にさせていただいています。
かんなで削った後、丁寧に根気よくペーパーで磨いて仕上げます。
最終的には深いところで約5mm削っていますが、ぱっと見ただけではわからない座彫りです。
この後オイルで塗装して出来上がりです。

「鉋刃の再生」

知り合いの大工さんにいただいた2寸鉋の刃を再生しました。
古くなったり、使わなくなってしまったかんなは、汚れたり錆びたりして敬遠しがちです。
しかし、長い年月を経ることにより台は乾燥して安定し、かんな身は研いで短くなり、
鉄と鋼(はがね)がよく馴染んで、より扱いやすいかんなになっていきます。

また、古いかんなは職人さんが一つ一つ手作りで作っているため
隠れた名品がまだまだ眠っているかもしれません。

「これはすごい!真鍮(しんちゅう)埋め込み鉋」

これはブログ友達の大工の伝さんから教えてもらった刃口に真鍮を埋め込んだ鉋です。
2枚鉋だったのを裏金をはずして真鍮を埋め込み、一枚鉋として使っています。
写真のように8分勾配くらいの角度でのこみちを入れその巾にあった厚みの真鍮を入れます。
鉋は現在、「二枚鉋」といって鉋身と裏金の2枚で構成されているものが主流ですが
これは昔からあった「一枚鉋」を使いやすくするための工夫らしいです。
こうすることで逆目が止まり、本当にきれいに削れます。
真鍮を埋める角度は伝さんによるときまりは特にないそうです。
私も色々やって4丁めのこの鉋でようやくうまく削れる鉋になりました。
真鍮の巾は金槌でたたいて薄くしてやすりと砥石で厚みを微調整してはめこんでいます。
きつめは禁物、ホゾの感じです。

トチ一枚板の天板の裏面の傷 「板の大きな傷の補修に鯉を埋めました」

貴重な一枚板ですが時々、表は非常にきれいなのに裏面にご覧のように大きな傷があるものがあります。

今回、かねてから試してみたかった方法で補修してみました。
トチ一枚板の天板の裏面の補修  分かりにくいかもしれませんが、同じトチで「鯉」の形をした板を作りぴたっとはめ込みました。

 どういう形にしようかとさんざん悩みましたが、池の中をゆったりと泳ぐ鯉、

 グッドアイデアだったと自画自賛しています。

クリ一枚板の座卓
 「座卓の脚に足し脚の仕掛けを作りました」

友人数人でお友達のご結婚祝いに小座卓を贈りたいとのご注文をいただきました。

天板の材料はクリの一枚板です。
天板の大きさは一番長い所で90cm、巾は50~70cm、座卓の高さは35cmです。小さな座卓ですので座る場所の空間を有効に使えるように4本脚にしています。

その脚に足し脚の仕掛けを作りました。この足し脚を付ければ42cmの高さになり、センターテーブルとしても使えます。
  ご覧のようにプラスのドライバー一本で簡単に取り外しできるようにしています。


「四方転びの脚のホゾ加工と長さのカット!」


椅子の脚の四方転び

四方転びというのは椅子やベンチの脚を四方に斜めに転ばして安定感を良くする加工のことなのですが、今までは座面の穴を斜めに開けて転ばしていたものを治具を作り脚のホゾを斜めに加工して座面の穴はまっすぐにしてもできるようにしてみました。ホゾは2段ホゾにしてより頑丈にしています。

脚の四方転びのホゾ

クリ一枚板のスツール 四方転びの脚の長さを決める印をつける 鋸で一気に切り落とす
クリ一枚板のスツールの四方転びの脚をカット
します。
4本の脚の高さを揃えるために作った逆L字型の
板を使って鉛筆で印をつけます。
万力にしっかりはさんで、一気に切り落とします。躊躇せず一気に切り落とすと切断面がきれいになります。

「丸太の脚の高さを決める加工!」

チェーンソーでだいたいの高さにカットした後、きれいに水平を出さなければいけません。
そこで、こんな治具を作ってトリーマーで削っています。

ウォールナットの一枚板を木取り 木取りしたウォールナットの脚の材料
「ウォールナットの脚の木取り」

ウォールナットのテーブルの脚に使うために、厚さ10cmの板をチェーンソーで木取りしました。いつもチェーンソーのエンジンがなかなかかからないので苦労するのですが、今回は一発でかかりラッキーでした!別の機械で板の厚みを半分にして、こんな感じで乾燥させています。

「ウォールナットで千切りの制作」

割れ止めに埋め込む、千切り(ちぎり)を作っています。千切りに使う材料は、硬くて狂いの少ないウォールナットです。いつもは、NCルーターで製作していたのですが、時々悲鳴をあげてビットが折れそうになっていたので、今回、違う方法でやってみました。
刃物の角度が変えられるイタリア製の軸傾斜盤という機械で形状を切り出します。この後、不要な部分を、のみで落とし、12ミリの厚みにカットします。

再生前のケヤキ一枚板の床板 鉋の荒削り 鉋をかけオイルで仕上げた床板
「最高の素材を再生する」

 
明治時代に奥多摩の神社のケヤキの大径木が切られ、木場の銘木店から奈良の吉野の銘木店に渡ったという裏書のある銘木のケヤキです。

30数年前、ご自宅を建てられた際、数百万円!で購入され床の間の床板となっていた、1m×2mの一枚板のケヤキ。この度、ご自宅を新築されるのにあたり、思い出の詰まったこの板を再生して、再び床の間に飾りたいというご希望でした。専門業者でも作業をしてくれる人が見つからず、木久楽に声がかかりました。機械加工ではできないことも高い手加工の技術で仕上げることができます。丁寧に鉋をかけ、オイルで仕上げると、見事な玉杢が現われ、当初の輝きが蘇りました。

上がり框に使われていた松の一枚板  「玄関の上がり框の松を削る」

同じく玄関の上がり框に使われていた3m50cmの松を削りました。玄関で使われていたので、凸凹があり、大きな鉋では刃がかからないので、小さな鉋で細かく根気良く削っていきました。

問題は松のヤニ!一削りすると鉋台にも刃にもヤニがついて手に負えません。そこで、知り合いの大工さんに聞くと灯油を塗るといいとアドバイスをいただいたので、早速やってみました。これで、なんとか仕事が進みました。

 


「丸太の半割の脚の加工」


栃の丸太の皮むき
テーブルの脚に使う丸太の半割を加工して仕上げました。 ノミと金槌を使い根気よく
皮を剥ぎますが、
これが簡単ではありません。
その後、電気チェーンソーで
取れない皮を落とします。
そして鉋で均し、ひたすらサンダ―で磨きます。

「整理箱ができるまで」

去年の暮に、内祝い用にご注文いただいて、20こ納品させていただいた整理箱。追加のご注文でもう10こ製作しました。

今回は、淡白色の光沢の美しいカエデ、中国山地産の山桜、希少価値が高まっているシオジ、一部、笹杢の出ているヤチダモでお作りしました。

各部材に丁寧に鉋がけしていますので、仕上がりの美しさが際立つと思います。 

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